MENU

    釧路の人口が40年で7万人減った悲しい理由【時代においていかれた街】

    まずはこちらのグラフをご覧ください

    これは釧路の人口推移を表したグラフとなっています

    聞いたことがある方もいるかもしれませんが、釧路の人口減少は凄まじいです

    1980年には約23万人と人口のピークを迎えましたが、右肩下がりに減り続け

    2023年にはついに16万人を割りました

    かつては道内人口4位を誇っていましたが、苫小牧・帯広に抜かれ

    現在では6位にまで陥落しています

    なんでそんなに人口が減ってしまったんだろう?

    その理由は少子高齢化もさることながら、釧路を支えていた地域産業が大きく衰退したことが大きな要因となっています

    どのような経緯をたどって釧路の人口が減り続けることになったのか

    この記事でその顛末を解説していくので、最後まで読めば釧路の人口減少について理解できます

    簡易まとめ
    • かつて釧路は「石炭・漁業・製紙」の3つの産業の好調により発展した
    • エネルギー革命により石油が主流になり、石炭産業が衰退
    • 200海里経済水域の設定により、漁業が衰退
    • 紙媒体の需要低下により、製紙業が衰退
    • 結果 釧路そのものが衰退した
    動画で見たい方はこちら
    目次

    【黄金期】釧路の人口を増加させた3つの産業

    かつて釧路には、人口が右肩上がりで増え続ける黄金期がありました

    なぜこの時期は人口が伸び続けていたのか?

    それは「地域産業が好調だったから」に他なりません

    その地域産業とは「石炭・漁業・製紙」の3つ

    それぞれ解説します

    石炭産業

    釧路の地下には良質な石炭が豊富に眠っています

    戦後日本はGHQによう占領行政の下、復興のための経済政策がすすめられていました

    その際、最優先で増産対策がなされたのが

    鉄道輸送や重工業に欠かせない石炭産業です

    約20億トンの石炭が埋蔵されているとされる釧路炭田には

    資材や資金が重点的に投じられ、釧路は活気に満ちていきました

    漁業

    漁業も釧路の発展に大きく貢献した産業です

    港町であった釧路は昔から漁業の盛んな地域であり

    この時期の一番の儲けは北洋漁業による利益でした

    解説

    北洋漁業とはソ連やアラスカの付近まで行き、

    サケやマス、スケトウダラを泊まり込みで獲ってる遠洋漁業のことです

    当時はこれが絶好調であり、この時釧路の水揚げ量は

    昭和44年から52年までの9年間、連続で日本一を記録していました

    製紙業

    最後に3つ目が製紙業です

    釧路では製紙やパルプ工業が盛んであり、これも釧路を支える重要な産業でした

    • 紙の原料となる森林が豊富
    • 海が近いことで海上輸送がやりやすい
    • 製紙に使うための水が安定的に大量に得られる

    という、紙を作るのに適した条件がそろっている土地だったのです

    主に新聞用紙を作っており

    なんとこの時期には国内の1割の新聞紙がここ釧路で作られていたそうです

    こうした3つの産業により、釧路は目覚ましい発展を遂げていきました

    1970年には小樽市の人口を抜いて 道内4位へ

    1980年には人口が23万人を突破することとなります

    【衰退】釧路の人口減を加速させた産業の低迷

    このまま絶好調で人口が増えていく・・・と思われましたが

    残念ながらそうはなりませんでした

    ここをピークに釧路の集落が始まっていくのです

    石炭産業の低迷

    まず陰りを見せたのは石炭産業でした

    エネルギー革命により、燃料の主役は石炭から石油へと移り変わることとなります

    石油は石炭よりも安価であり扱いやすいので、飛躍的に消費が増えていきました

    このエネルギー革命により深刻なダメージを受けたのが石炭産業です

    無論釧路も例外ではありません

    石炭の需要減に対抗すべく、高度な機械の導入や新たな最短方式の採用などで効率化を目指しましたが

    時代の流れには逆らえず、最後の炭鉱が2002年に閉山。歴史の幕を閉じました

    漁業の低迷

    漁業にも衰退の手を伸びていきます

    その発端は1977年の200海里漁業専管水域の設定でした

    海の資源を守るため、世界中の国が200海里の経済水域を設定

    日本も抵抗むなしく、これに従うこととなりました

    ちなみにこの頃の日本の漁業は
    他国の地域の魚を根こそぎ獲っていたので、
    大分迷惑がられていたらしいよ

    200海里により、これまでのような漁業が出来なくなってしまった釧路

    その影響は顕著で、水揚げ量も2位に転落することとなります

    しかしここで奇跡が起こります

    なんと釧路近海でマイワシが大量に獲れるようになったのです

    このイワシドリームにより釧路は再び水揚げ量日本一に返り咲き

    以降13年間トップを記録し続けることとなります

    ですがその夢も長くは続かず、1994年を最後にイワシは獲れなくなり

    釧路の漁業は大きく衰退することとなりました

    2023年、釧路が32年ぶりに水揚げ量1位となりました!

    製紙業の撤退

    石炭・漁業と2つの産業を失った釧路

    人口は減少の一途をたどり、2015年には人口が苫小牧に抜かれ5位へと転落します

    そして遂に最後の綱である製紙業も崩壊することとなりました

    釧路にある日本製紙工場が、釧路からの撤退を発表したのです

    近年はスマホの普及により紙媒体の需要が激減し、新聞を見ない人も多くなりました

    そしてコロナによる経済活動の停滞がトドメとなったのです

    釧路は署名を集めてなんとか再考を願いましたが結果は変わらず

    2021年、釧路から紙・パルプ業が撤退することとなりました

    こうしておよそ100年続いた製紙の歴史は幕を下ろします

    まとめ:釧路の人口減少は産業の衰退が原因

    最後にまとめです

    まとめ
    • 釧路は「石炭・漁業・製紙」の3つの産業により発展していった
    • エネルギー革命により石炭産業が低迷
    • 200海里経済水域の設定により漁業が低迷
    • 紙需要激減により製紙業が低迷

    3つの柱を失った釧路の人口減少を止まらず

    2021年、とうとう帯広に人口を抜かれ道内6位へと転落します

    国の研究機関によると、2050年には10万人を下回ると予想されているそうです

    果たして釧路はこの人口減少を食い止めることができるのか?

    見守っていきたいと思います

    この記事が気に入ったら
    フォローしてね!

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次